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●このシリーズの本はポプラ社からは版権を引き上げましたので、フリーになっています。図書館で読んでください。20年間新本は買えない状態になっています。読者にすまないし、作者としても残念です。なんとかすっきりした形で、ペンチくんや、ハナマル警部に活躍してもらいたいとおもっています。(2016/3/23)

メカたんていペンチ シリーズ

4さつ    元 ポプラ社(その前は国土社版もあった)

パンツじけんだ。はんぶんとられたじけんだ。王女さまがさらわれた。かおをとられた。
へんなじけんをハナマルけいぶときょうそうでかいけつするペンチくんは、メカの天才だ。
よんだら、きみも、たんていだ。
こどもなのに、おとなをやっつけるペンチくんみたいになりたくないかい?

ちからパンツ 半分どろぼう            
     
 小学校も高学年になれば、殺人事件などの大人の本も読むが、低学年にはユーモアのある話が必要だ。
 子供の本だとあなどって、シャーロック・ホームズのパクリをやったりはしない。どこにもいなかった探偵をつくることが物書きの楽しみなのだから。
 殺人事件を書かないで、それよりもパンチのある事件を考えなければならない。半分どろぼうは、半分だけぬすんでいく、へんなどろぼうだ。動物園のライオンが半分だけぬすまれた。いったいどういう犯人なんだ?たしかに、ライオン一頭ぬすんでいくのはむつかしい。だからといって、うしろ半分だけぬすんでいくとは???残った前半分のライオンのまぬけなこと。

 こういうばかばかしい話は、昔の民話など、つまり職業作家ではない人の考えたものが多い。だが、民話では、すっきりと話ができあがっているものは少ない。出だしがおもしろいほど、まとめるのはむつかくなる。
 事件を解決するのに、ペンチくんが、おおげさな機械を作るから「メカたんてい」だ。銭形平次の銭のかわりだ。脇役も主役級のキャラだ。カオハギぺろりん パトレ王女ゆうかい


表紙にはボーイズ ビー アンビシャスの英文。
裏表紙には、そのハナマル訳で「ぼうず、志をもたんとあかんぞ」と書いてあります。
ペンチくん、助手のニッパー、ハナマル警部、警察犬コムスビが、常連です。家族はでてきませんので、どんな境遇の子供でも楽しめます。お母さんなどを出していないのは、そういうことを私が考慮して書いているのですが、そんなことも評論する方は伝えてほしいです。
二年生の本、教材もふくめて、「自てん車」などと書くのが、今の教育でのきまりですが、私の本では、こういう名詞のまぜがきはしません。警察、警部なども、きちんと漢字をつかいます。これを評価していただきたいのですが・・。
探偵物のトリックなどは、ポーや、ドイルなどが、やりつくしていて、その後の作品はパクリにちかい。漫画や児童書ではパクリだらけだ。わたしは、このペンチを書くにあたり、いままでに居なかった探偵をつくろうとしました。事件そのものも、なかった事件をつくることをこころがけました。
どうせ子供が読むのだから、ありもののトリックをアレンジしておけば、抵抗もないし、どこかで見たものは安心なので儲かるのですが。こういう世界のどこにもないものを創ると大人が読んでもおもしろいはずです。
一、二年生の日本男児には、ぜひペンチを。本をかかえてねるほどいれこむ子もいます。
それにペンチの使い方くらいはおぼえてもらいましょう。もっと、子供の本に、お母さんまかせにしないで、お父さんにもかかわってほしい。イクメンに期待します。私自身も家で仕事をしていたので、昼間の公園で子供と遊んだものです。当時はイクメンはいないので、変な男と見られたでしょうが。
メカたんていペンチちからパンツ(ポプラ社の矢玉四郎の本 1)
著者:矢玉 四郎著
出版:ポプラ社
発行年月:1996.11

 赤ちゃんが自動販売機を放り投げるという事件がおきた。ハナマル警部がまぬけな捜査をするのだが、メカたんていペンチの活躍で、見事に謎も解明、事件も解決する。原因はちからパンツという、とんでもないパンツにあるのだが、このパンツがほしいという人もいるだろう。入手法はまずこの本を読んでから。
 メカたんていペンチシリーズの一冊。絵本とちがって幼年童話を手にとる大人は少ないだろう。だからまともな評論もない。だが、字をおぼえた一、二年生が一生懸命読むのだから、その影響は大きい。絵本ならいいかげんな仕事でも通用することがあるが、幼年童話は極めて専門性の高い仕事だ。お説教をたれたり、泣かせるのは簡単だが、子供を楽しませ、心の内側から元気にさせるようなものを書くのは難しい。親や学校の先生にもぜひ読んでほしい。子供と心を交わすヒントが満載。教室でうばいあいになっているという報告もある。
メカたんていペンチ半分どろぼう(ポプラ社の矢玉四郎の本 2)
著者:矢玉 四郎著
出版:ポプラ社
発行年月:1996.12

 今の探偵は、夫の浮気の現場をとらえて離婚の慰謝料を取りたいというような依頼による仕事に専門技術を使って大活躍だ。また推理小説も大盛況だが、人殺しばっかりだ。残忍な事件ほど人気を得る。                      
     
 そんな話を子供の本にできるわけがない。小学校も高学年になれば、陰気な大人の本も読むが、低学年にはユーモアのある話が必要だ。
 子供の本だとあなどって、シャーロック・ホームズのパクリをやったりはしない。どこにもいなかった探偵をつくることが物書きの楽しみなのだから。苦しいけど。
 殺人事件を書かないで、それよりもパンチのある事件を考えなければならない。半分どろぼうは、半分だけぬすんでいく、へんなどろぼうだ。動物園のライオンが半分だけぬすまれた。いったいどういう犯人なんだ?たしかに、ライオン一頭ぬすんでいくのはむつかしい。だからといって、うしろ半分だけぬすんでいくとは???残った前半分のライオンのまぬけなこと。

 こういうばかばかしい話は、昔の民話など、つまり職業作家ではない人の考えたものが多い。だが、民話では、すっきりと話ができあがっているものは少ない。出だしがおもしろいほど、まとめるのはむつかくなる。
 事件を解決するのに、ペンチくんが、おおげさな機械を作るから「メカたんてい」だ。銭形平次の銭のかわりだ。脇役も主役級のキャラだ。

●これは1985年の国土社版です。「半分どろぼう」「かおはぎぺろりん」「パトレ王女ゆうかい」の3話がのっています。その後、ポプラ社で、一話づつ絵を書き直して三冊にして、あらたに「ちからパンツ」を一冊書き下ろして、シリーズ四冊にしました。そのポプラ社版は増刷されないので、版権を引き上げましたのです。現在は中古しかありません。
国土社版は15万部くらい売れたので、中古が出回っているのかもしれません。「同じ話じゃないか」とお叱りを受けるところです。混乱して申し訳ありません。
低学年の男の子にはぜひともよんでほしいので、過去にはアニメ化の話もありましたが、このキャラを、すっきりとした形で復活させてお目にかけるようにしたいと願っています。(2016/3/23)

●「メカたんていペンチ」の初出は1981年「3年の学習」(学研)10月号〜3月号で連載。「半分どろぼう」「かおはぎぺろりん」「パトレ王女ゆうかい」の三作。
●1985年国土社版
●1996年新たに「ちからパンツ」を書き下ろし、三作を一冊づつにして、4冊のシリーズを発刊。人気はあったが、なぜか増刷されることもなく、手に入らなくなったので、「どかんねこ」「心のきれはし」等とともに、2013年出版契約を解除。